Japanese
English
綜説
肺癌における基底膜の構造変化と臨床的意義
The Clinical Significance and Degradation of Basement Membrane in Lung Cancer
阿部 庄作
1
Shosaku Abe
1
1札幌医科大学第三内科
1Department of Internal Medicine Ⅲ, Sapporo Medical College
pp.940-944
発行日 1992年10月15日
Published Date 1992/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404900547
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
はじめに
基底膜(Basement membrane)は全身各臓器の上皮細胞,内皮細胞の基底面に存在し,これら細胞が結合組織と接する境界に薄層の構造物として形成されている.中枢神経系では血管にのみ基底膜を観察するが,末梢神経系,シュワン細胞は基底膜で包まれている.平滑筋細胞,心筋細胞,骨格筋細胞なども基底膜で包まれている.とくに,筋線維細胞では細胞の全周囲が結合組織と接しているので,筋線維細胞は基底膜に完全に覆われている.また,脂肪細胞も不完全であるが基底膜に取り囲まれている.
肺の気管・気管支壁にみられる基底膜は気管支上皮細胞の上皮層と弾力線維束や血管・リンパ管などが含まれる上皮下層を分けている.肺胞壁にみられる基底膜は肺胞上皮細胞側の基底膜(Alveolar Basement Membrane:ABM)と肺血管内皮細胞側の基底膜(Capillary Basement Membrane:CBM)に分けられるが,2層の基底膜が融合して1つの構造物となって観察されることが多い.
Copyright © 1992, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.