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Basement membraneのorigineについては上皮由来とするもの1,2),mesenzymal-origineとするもの3),その両者からなるであろうとする説4)などがあるが,Pieaceらのhuman lenscapsuleによる研究5)では,basement membraneには,1)種族に特異性があり,epithelialbasement membraneに特異的なものと,2)種族に特異性があり,collagenや血管basementmembraneに特異的なもの,および 3)種族に特異性がなく,epithelial basement membrane血管basement membraneあるいは,collagenと交叉するものの3つに分けることができる。ところで,lens capsuleは構造的にも,化学的性質においても,Reichert's membraneに似た厚いbasement membraneであることから6〜11)mesenzymalのcontaminationの少ないbasement membraneとして従来用いられてきた2,12)crudeなhuman lens capsuleで作つた坑血清は,すべての上皮性基底膜と同時に,血管basement membraneや,collagenとも反応するが,それを人脾臓で吸収したものは,上皮性基底膜のみと反応する2)。一方,この人脾臓で吸収される物質に関しては,この中に,nephrotoxinが存在していることを,Steblay & Lepperは,人糸球体基底膜に対する兎の抗血清を犬に注射し,致命的な,nephritisを起こすことによりこの種族特異性のないbasement menbraneがnephrotoxinを含むことを証明しており13),柴田らは,正常動物の糸球体基底膜に存在するnephrotoxinを作る物質が,糖蛋白の一種であることを解明した14)。
このように,光顕上のbasement membraneには,epithelial originのものと,そうでないものとがあり,それぞれに病因的な意味が異なつているであろう。したがつて,本研究では,Pieaceらの方法2)に従って,crudeなantihumanlens capsuleと,それを人脾臓で吸収した上皮特異性基底膜抗体とを作製し,Peroxidase抗体法により15),電顕免疫学的に,次のことを検索した。すなわち 1)表皮細胞の変化に伴うbasementmembraneの形態的変化が,免疫学的変化を伴つているかどうか。2)光顕的に形態学的,免疫学的変化をきたしているbasement membraneが電顕ではどうなつているのか。3)人表皮細胞が,真にbasement membraneを作つているのかどうか。以上の点を検討した。材料としては正常,伝染性軟属腫,急性エリラマトーデス,扁平上皮癌(grade I)を選んだ。問題点の 1)として伝染性軟属腫では,ウィルスにより表皮細胞に病変が生じ,ケラチン合成が,阻害される状態でのbasement membraneの所見を,2)としては急性エリテマトーデスは,basement membrane病として知られ,基底膜の肥厚がみられるが,これは真皮病変に続発して生じ,γ-globulinの沈着に由来しており本来のbasement membraneとは関与の少ないものとして選んだ16)。またlupus nephritisとS. L. E. のdermoepidermaljunctionのbasement membraneとの関連性についてもふれた。
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