Japanese
English
解説
心蘇生と混合静脈血Pco2
Cardiopulmonary Resuscitation and Mixed Venous Pco2
諏訪 邦夫
1
Kunio Suwa
1
1東京大学医学部麻酔学
1Department of Anesthesia, Faculty of Medicine, University of Tokyo
pp.759-763
発行日 1992年8月15日
Published Date 1992/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404900519
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はじめに
蘇生時にPco2,とくに静脈血Pco2が非常に高値になることがある.蘇生の際に代謝性アシドーシスが発生するのは普遍的に知られている事柄であるが,その際に代謝性アシドーシスだけでなくて“呼吸性アシドーシス”が静脈血に,ことに混合静脈血にみられ,最近注目をあびている.
先頃必要があって,過去10年ほどのメドラインで,“蘇生における酸塩基平衡の問題”を検索してみた.この点に着目した論文が60ほど見つかったが,そのうちで実に20以上(30%以上)が,混合静脈血のPco2をテーマにしていた.蘇生に限定せずにショックまで含めれば数はさらに増加する.ところが,どの研究論文をみても“Pvco2が高い”という事実には注目しながら,なぜそうなるのかの説明はいい加減である.“静脈血の分析が必要”と述べるにとどまっているものも多い.いずれもメカニズムの解析には及んでおらず,ましてや対応には触れていない.それどころか,報告によってはまるで出鱈目の論理が記載されている.それが,本稿を執筆する理由である.
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