今月の臨床 経腟超音波を使いこなす
不妊症治療への応用
2.PCOのスクリーニング
髙橋 健太郎
1
1島根医科大学医学部産科婦人科
pp.524-530
発行日 1998年4月10日
Published Date 1998/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409903244
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多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の診断はその病態の複雑さより全世界的にみて一定の見解がないのが現状である.本疾患は1935年に,Stein andLeventhalら1)が両側卵巣の腫大と特徴的な臨床所見(不妊症,稀発月経ないしは無月経および男化徴候)を有する7症例を報告したことに始まる.しかし,彼らの報告した典型例いわゆるSteinand Leventhal syndromeは稀で,現在ではPCOSは一連のspectrumをもった疾患であろうと理解されており,不妊症患者のなかでも日常よく認められる.PCOSの診断は臨床症状とホルモン値に基づかれたものが多く,最近では一つのホルモン値〔LHの高値2),アンドロゲン(androgen)の高値3)〕あるいはこれらの二つのホルモン値のコンビネーション4)でPCOSの診断が試みられている,
一方、1980年代になって,超音波診断装置が骨盤内の検索に使用されるようになり,非侵襲的に卵巣の形態の観察が可能になった.そして,同時に卵巣の多嚢胞性変化がPCOSの診断で重要な地位を占めるようになってきた5-14).
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