Japanese
English
綜説
遺伝子組換えヒト・エリスロポエチンと心臓外科
Application of Recombinant Human Erythropoietin on Cardiac Surgery
林 純一
1
,
篠永 真弓
1
,
江口 昭治
1
,
品田 章二
2
Jun-ichi Hayashi
1
,
Mayumi Shinonaga
1
,
Shoji Eguchi
1
,
Shoji Shinada
2
1新潟大学医学部第2外科
2新潟大学輸血部
1Department of Surgery Ⅱ, Niigata University School of Medicine
2Departrment of Blood Transfusion, Niigata University School of Medicine
pp.751-757
発行日 1992年8月15日
Published Date 1992/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404900518
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はじめに
心臓外科は,従来,大量の血液を使用してきた医療分野である.手術に不可欠の人工心肺回路の充填に多くの血液を用い,また人工肺を含めた体外循環が血球および血漿蛋白に少なからぬ損傷を与え,血小板,赤血球,凝固因子などが消費されるからに他ならない1,2).これに対し,近年血液供給不足や血液を介した感染症,免疫不全を可及的に回避するという立場から,心臓手術における輸血の節減のため,種々の努力がなされている.
これら輸血節減法のうち,術前自己血貯血法3,4),晶質液のみによる人工心肺回路の充填,術中術後出血の回収と再輸注5),自己多血小板血漿の採取と再輸注法6,7)などの効果が報告されている.しかしながら,心臓手術直後の全身状態回復や術中の酸素運搬能の観点から,いずれの方法においても,無輸血手術成否の根幹には,ある一定以上のヘモグロビンが維持できるかどうかという問題が横たわっている.
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