生涯研修セミナー PCO
PCOと不妊症
高橋 克幸
1
Katsuyuki Takahashi
1
1国立仙台病院産婦人科
pp.856-861
発行日 1988年9月10日
Published Date 1988/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409207867
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女性の不妊症は,その原因から卵管・排卵・子宮・頸管,その他の因子に大別される。その頻度は卵管因子が最も高く30〜40%,次いで排卵因子が20〜25%,子宮因子が15〜20%,頸管因子10〜15%,原因不明が10%以下とされているが,この数値は報告者により若干異なることは勿論である。この中の無排卵症の原因の1つとしてPCO (polycystic ovarian syndrome或いはdisease:多嚢胞卵巣症候群)があげられる。無排卵症の原因に占めるPCOの割合も又報告者によって異なるが,東北大の成績では無排卵症婦人52人の卵巣の病理組織検査で,PCOは23例,44.2%の高率となっている1)。しかし欧米の報告では全不妊症婦人の0.6〜4.3%にPCOが認められたという報告もある2,3)。この数値を我が国の無排卵症の頻度に換算すると,無排卵症の3〜24%にPCOがあるという計算になる。いずれにせよPCOの頻度は相当に高いということがうかがわれる。
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