今月の臨床 不妊の原因を探る
無排卵・無月経
10.PCOと不妊
苛原 稔
1
,
青野 敏博
1
Minoru Irahara
1
,
Toshihiro Aono
1
1徳島大学医学部産婦人科
pp.1178-1180
発行日 1993年10月10日
Published Date 1993/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409901470
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臨床症状
多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)は特有の臨床症状,卵巣の形態的変化,内分泌異常を主徴とする症候群で1),種々の原因によって発症すると考えられるが,詳細な病態は現在のところ不明である。表1にPCOSの臨床症状について,1991年度に実施した日本産科婦人科学会生殖内分泌委員会「本邦婦人の多嚢胞性卵巣症候群の診断基準設定に関する小委員会」による日本女性の全国調査結果を示した。日本女性では排卵障害による月経異常の出現頻度が92%ときわめて高く,それに基づく不妊の頻度は既婚患者の実に99%を占めている。不妊原因となる月経異常の内訳では,第1度無月経や稀発月経が多い。PCOSの月経異常は思春期の頃から発症することが多いので,不妊患者で若年期から月経異常がある例は本症を念頭におくべきである。一方,日本女性は欧米女性と比較して多毛,肥満などの臨床症状の出現頻度が低いが,この原因としては男性ホルモンの上昇の程度が軽いことが示唆されている。
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