Japanese
English
装置と方法
近赤外線による脳酸素の測定
Non-invasive Near-infrared Monitoring of Cerebral Oxygenation
星 詳子
1
,
垣花 泰之
2
,
田村 守
3
Yoko Hoshi
1
,
Yasuyuki Kakihana
2
,
Mamoru Tamura
3
1北海道大学医学部小児科
2鹿児島大学医学部麻酔科
3北海道大学応用電気研究所生体物理
1Department of Pediatrics, Hokkaido University School of Medicine
2Department of Anesthesiology, Kagoshima University School of Medicine
3Biophysics Division, Research Institute of Applied Electricity, Hokkaido University
pp.361-367
発行日 1992年4月15日
Published Date 1992/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404900457
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はじめに
近赤外分光法は,その生体組織に対する高い透過性を利用して1977年Jobsis1)が始めてネコやヒトの頭部で透過光の検出に成功して以来,新しい非観血的計測法として注目され,近年は臨床へも応用されてきている.
近赤外光(波長;700〜3000nm)を吸収する生体物質は主としてヘモグロビン(Hb),ミオグロビン(Mb),そしてミトコンドリア内チトクロームオキシダーゼ(cyt.ox.)であり,これらの吸光度変化は可視部に比べてかなり小さいが,Hb,Mbの酸素飽和レベル,cyt.ox.の酸化—還元レベルによって変動する.したがって,生体組織を透過した近赤外光の強度変化をモニターすることによって組織内の酸素化状態を無侵襲的に把握することができる.特にcyt.ox.の酸化一還元状態は,直接細胞内(ミトコンドリア内)の酸素化状態の情報を与えてくれる.しかし,cyt.ox.の測定はin vivoにおいて多量に存在するHbの影響を強く受けるためきわめてむずかしく,またその測定意義も臨床ではまだよく理解されていないので,ルーチンの測定対象とみなされていない.そこで,近赤外分光法の基本原理やHbの測定法の詳細については幾つかの総説2,3)を参照していただき,本稿ではcyt.ox.の測定法と実際の測定例を紹介して,cyt.ox.の測定意義について考えてみたい.
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