今月の主題 胎盤
トピックス
近赤外線分光法(near infrared spectroscopy)による胎盤酸素飽和度測定
河村 隆一
1
,
平井 久也
2
,
金山 尚裕
2
Takakazu KAWAMURA
1
,
Kyuya HIRAI
2
,
Naohiro KANAYAMA
2
1静岡県立こども病院周産期センター産科
2浜松医科大学産婦人科
キーワード:
子宮内胎児発育遅延
,
胎盤
,
近赤外線
Keyword:
子宮内胎児発育遅延
,
胎盤
,
近赤外線
pp.1705-1708
発行日 2007年12月15日
Published Date 2007/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542101391
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1.はじめに
胎盤における子宮-胎盤循環,特に胎盤での酸素動態は胎児に多大な影響を与える.すなわち胎盤が低酸素に陥ると,胎児は低酸素状態に曝され脳性麻痺や神経学的後遺症などの重篤な合併症を引き起こす.胎児のwell-beingを評価する方法としては,現在,胎児心拍数を監視する方法が広く用いられている.しかし,non-stress-testやcontraction-stress-testに代表されるこの手法の疑陰性率は1.0~2.7%と低いものの,疑陽性率が50~75.0%と高い1~4).また,これらの評価法が普及したにもかかわらず,脳性麻痺の発生頻度は減少していないなどの問題点が指摘されている.さらに,胎児心拍数のみでは胎児の低酸素症を正確に検出できないとの報告もある.現在,胎盤機能の評価法としては妊娠中の超音波検査など画像による形態学的評価,もしくは胎盤娩出後に肉眼的,病理組織検査によるしかない.最近筆者らは,母体腹壁から胎盤の酸素動態を測定する方法を考案し,胎盤における組織酸素化指標(tissue oxygenarion index;TOI)を測定したので得られた知見を報告する.
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