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解説
医学研究における疫学と統計学的考え方・2—相関と因果関係スタディデザインとバイアス
Epidemiology and Biostatistics in Medical Research, vol. 2 : Causation and Assoociation, Study Design and Biases
桑原 洋一
1
,
斉藤 俊弘
1
,
稲垣 義明
1
Yoichi Kuwabara
1
,
Toshihiro Saito
1
,
Yoshiaki Inagaki
1
1千葉大学医学部第三内科
1The Third Department of Internal Medicine, School of Medicine, Univercity of Chiba
pp.137-144
発行日 1992年2月15日
Published Date 1992/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404900422
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相関(Association)と因果関係(Causation)
医学研究の本質的な目的は疾患の原囚(etiology)を探り,予防し,治癒させることを通じて,その疾患を撲滅することである.疾患の発症あるいはその重症度に関わる因子や,予防的に働く因子,治療効果を探る研究には相関(association)の統計学的有意差の証明のみならず因果関係(causation)の証明が重要となる.例えば,頭痛持ちの中にアスピリンを常用している人が多いという事実は頭痛とアスピリンの相関を示すが,アスピリンが頭痛をひきおこすという因果関係は証明していない.頭痛が原因でアスピリンを服用すると考えるのが常識的であるが,どちらが原因でどちらが結果であるかはこの情報だけからは判定することはできない.アスピリンを頭痛以外の理由で服用し,その結果頭痛の発生が多くみられるのであれば,はじめてその因果関係を言及できるであろう.
ある因子が疾患の発症,経過に影響を及ぼすということを結論するためには,その因子の変更—例えば放射能の被爆やアスピリン等の治療開始—によってその後の疾患の発症率や予後,または検査結果が変わることを証明する必要がある.MacMahonとPughは因果関係の定義として「ある因子の変更にともない疾患の頻度や性質が変わる」を唱えている1).この定義は以下の2つの要素を持つ.
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