Japanese
English
特集 呼吸器系とリンパ循環
転移と肺リンパ循環
Metastasis of Tumor Cell in Lymphatic Circulation of the Lung
新田 澄郎
1
Nitta Sumio
1
1東京女子医科大学呼吸器センター外科
1Department of Surgery Ⅰ, Tokyo Women's Medical College
pp.425-430
発行日 1991年5月15日
Published Date 1991/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404900270
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リンパ流は所属リンパ節を経て中枢側集合管へと流入するが,腫瘍細胞がリンパ節から次のリンパ節へと転移を生ずるとき,週ないし月単位を要することがあり,この場合リンパ節内に腫瘍細胞が捕捉されていたと考えることができる.反面,通常組織学的には検鏡により,リンパ節内での腫瘍細胞の破壊像はみられず,むしろリンパ節は腫瘍の増殖を促す培地となっているとの見解もみられる.また,免疫学的検討によっても防御機能を持つか否かについては不詳である.リンパ管造影によると,何らかの原因でリンパ節への輸入路の閉塞がみられると,多数の側副行路が発達,逆行性の転移が生ずる.このように癌細胞の転移に際してリンパ節が防塞なのか温床なのかに関しては現在なお定説がない.
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