Japanese
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特集 呼吸器系とリンパ循環
透過性亢進とリンパ循環
Vascular Permeability and Lymphatic Circulation
長坂 行雄
1
Yukio Nagasaka
1
1金沢医科大学呼吸器内科
1Department of Pulmonary Medicine, Kanazawa Medical University
pp.431-437
発行日 1991年5月15日
Published Date 1991/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404900271
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はじめに
血管透過性の亢進は肺血管に限ったことではなく他の全身の血管系との共通点も多いが,以下,肺血管に限って話を進める.
肺水腫を大別すると肺毛細血管圧の上昇によるhigh-pressure pulmonary edema(臨床の病態としては心原性肺水腫)と後で述べる血管透過性の亢進によるincreased-permeability pulmonary edema(透過性亢進型肺水腫,代表的な臨床の病態としては成人型呼吸窮迫症候群・ARDS=adult respiratory distress syndrome)とに分かれる.前者は肺の水分交換に関与する血管,主な毛細血管の内圧の上昇をきたす疾患,とくに心不全,あるいは心臓弁膜症の際に見られる.後者の代表はARDSで重篤な全身疾患,外傷の際に肺の微小血管の障害が起こり,その透過性が亢進する(蛋白および水分が通過しやすくなる)ものである1).
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