Japanese
English
解説
小口径血管レーザー吻合
Laser vascular anastomosis for small-caliber vessel
岡田 昌義
1
,
清水 一太
1
,
中村 和夫
1
Masayoshi Okada
1
,
Kazuta Shimizu
1
,
Kazuo Nakamura
1
1神戸大学医学部第二外科
1The Second Department of Surgery, Kobe University School of Medicine
pp.337-345
発行日 1990年4月15日
Published Date 1990/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404900126
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はじめに
近年,本邦は高齢者社会となり世界一の長寿国となっているが,この事実は誠に喜ばしいことである。しかしこの反面,動脈硬化に基因する虚血性心疾患や閉塞性ないし拡張性動脈疾患が急増している。この結果,外科治療の対象も増加しているが,目下この領域における最大の問題点は小口径血管の血行再建術である。というのも,直径4mm以下の小口径血管に対する血行再建術後の遠隔成績はあまり芳しくないのが現状であり,何らかの対策を講じることが,目下最大の関心事であるからである。
かかる問題点の解決策として著者らは,小口径血管の吻合時には可及的縫合糸を少なくするのがよいのではないかと考え,これにレーザーを応用することに着目したのである1)。その結果,レーザーによる血管吻合は予想外に良好であり,十分可能であることが立証された。1980年初期よりレーザーに関する基礎的研究を続けその有用性から臨床例に応用したが,心臓血管外科領域における臨床応用の総数は132症例に達した。
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