今月の表紙
小口病
山本 素士
1
,
中澤 満
2
1久留米大学眼科
2弘前大学眼科
pp.705
発行日 2007年5月15日
Published Date 2007/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410101613
- 有料閲覧
- 文献概要
患者は24歳女性。結膜炎で近医を受診した際に夜盲を訴え,眼底異常を認めたため精査目的で当院を紹介され受診した。既往歴は,5歳より多発性硬化症がある。家族歴に特記すべきことはなく,近親婚は確認できていない。眼底検査で“はげかかった金箔様”眼底を認めたが,長時間暗順応後の眼底検査では正常眼底となった(水尾-中村現象)。20分暗順応flash ERGでa波の低下,b波の消失,律動様小波は正常で長時間暗順応flash ERGでa波,b波の改善を認めた。視野,色覚,中心フリッカ値は正常であった。以上より小口病と診断した。
小口病は先天停止性夜盲の一種で,原因として常染色体劣性遺伝でアレスチン遺伝子1147delA変異,またはロドプシンカイネース遺伝子の異常が報告されている。日本人の場合は,前者が多いとされている。
Copyright © 2007, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.