Japanese
English
綜説
呼吸器疾患のサイトカイン療法
Cytokine Therapy for Respiratory Diseases
川瀬 一郎
1
Ichiro Kawase
1
1大阪府立羽曳野病院第二内科
1The Second Department of Internal Medicine, Osaka Prefectural Habikino Hospital
pp.775-780
発行日 1997年8月15日
Published Date 1997/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404900046
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はじめに
1980年代,リンフォカイン活性化キラー細胞(LAK細胞)の抗腫瘍効果を臨床に応用すべく,LAK細胞と大量のインターロイキン2(IL−2)の全身投与が数多く試みられた.しかし,その臨床効果は腎癌やメラノーマなど一部の悪性腫瘍にみられたものの,他の多くの癌には無効であり,しかも強い発熱や肺水腫など無視しえない有害作用が生じた1).
1990年代に入って,腫瘍細胞やリンパ球にサイトカイン遺伝子を組み込み,生体内にもどすという方策が可能になってきた.この方法でいくと,目的の場所で目的のサイトカインを微量かつ持続的に作動させることが可能となり,効果の増強とともに有害作用の大幅な軽減が得られるものと考えられる.
本稿では,肺癌をはじめとして,肺線維症,気管支喘息およびびまん性汎細気管支炎についてサイトカインの関与ならびにその治療応用の現況を述べる(表1).
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