Japanese
English
特集 血小板と心疾患—その新展開
血管壁における血栓形成とそのメカニズム
The Mechanism of Thrombus Formation on Vessel Walls
前野 伸昭
1
,
丸山 征郎
2
Nobuaki Maeno
1
,
Ikuo Maruyama
2
1鹿児島大学医学部小児科
2鹿児島大学医学部臨床検査医学
1Department of Pediatrics, Faculty of Medicine Kagoshima University
2Department of Laboratory Medicine, Faculty of Medicine, Kagoshima University
pp.741-746
発行日 1997年8月15日
Published Date 1997/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404900041
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はじめに
血栓形成は本来,血管破綻・出血に対する止血反応(hemostasis)であり,局所における生体防御反応の一つである.したがって,この止血血栓の形成は迅速であることと,血管破綻部位に限局したものであることが要求される.前者に対しては血液凝固系は一つの小さな変化を大きな反応へと増幅するいわゆるカスケード反応で対応している.このカスケード反応は多くの酵素と基質,補助因子が関与する複雑な反応系である.また,後者に対しては種々のインヒビターや血管内皮細胞がカスケードを制御することで対応している.そして血栓形成の過程は主に血小板による一次止血栓と凝固反応による二次止血栓よりなり,それぞれが役割を分担し関連しあいながら反応を進めていく.しかし一方で,この防御機構であるべき止血血栓の形成が非合理的に起動すると血栓症あるいはDIC(播種性血管内凝固症候群)という生体に有害な結果を招来することになる.
本稿では血管壁における血栓形成のメカニズムと,その制御機構について最近の知見を交えながら解説する.
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