Japanese
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Current Opinion
高齢者肺癌の治療
Managment of Elderly Patients with Lung Cancer
太田 洋充
1
,
小山 信一郎
1
Hiromitsu Ohta
1
,
Shinichiro Koyama
1
1自治医科大学附属さいたま医療センター呼吸器内科
1Division of Respiratory Medicine, Saitama Medical Center, Jichi Medical University
pp.1226-1232
発行日 2016年12月15日
Published Date 2016/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404206087
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高齢者肺癌の治療における最近の動向
[1]はじめに
日本は高齢化社会であり,2014年の統計で日本の総人口1億2,708万人のうち,65歳以上の高齢者人口は3,300万人と,約26%である.肺癌は加齢とともに増加し,肺癌罹患患者の50%,肺癌死亡患者の60%以上を75歳以上の高齢者が占める(国立がん研究センターがん対策情報センター).
国連の世界保健機関(WHO)の定義では65歳以上を高齢者としているが,日本の医療現場では,70歳あるいは75歳以上を高齢者とすることが多く,日本肺癌学会が発行している肺癌診療ガイドラインでは,75歳以上を高齢者と定義している.高齢者は心肺機能,腎臓,肝臓の代謝機能,骨髄での造血能が低下し,複数の合併症を有することが多い.そのため,早期肺癌であったとしても手術ができないこともある.また,抗がん剤の毒性が若年者より強く出現する.高齢者の肺癌は若年者と分けて考える必要があるが,機能年齢は個人差が大きいため,治療方針は暦年齢を考慮しながら個々の患者で考える必要がある.
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