講座 図解病態のしくみ びまん性肺疾患・12
肺水腫—high pressure edemaとincreased permeability edema
小山 信一郎
1
,
斉藤 頴
2
,
堀江 孝至
1
Shinichiro Koyama
1
,
Satoshi Saito
2
,
Takashi Horie
1
1日本大学医学部・第1内科
2日本大学医学部・第2内科
pp.2743-2749
発行日 1984年12月10日
Published Date 1984/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402219550
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肺はガス交換を行う臓器であり,肺胞内ガスと毛細血管血との間で酸素と炭酸ガスの交換が行われる.このようなガスの移動は,かならずガス分圧差に基づいて行われ,ガスの移動量(Vgas)とガス分圧差(ΔP)との間には
Vgas=K×ΔP
の関係がある.ここでKはガスの移動に対する抵抗の逆数(コンダクタンス)である.
このようなガスの移動と同時に肺胞領域では水分の移動も起こっている.図1の右に示したのはWeibelら1)が示している水分移動を中心とした肺胞領域のモデルである.水分は毛細血管内皮細胞と間質の間を移動し,間質と肺胞上皮細胞との間も移動する(正常肺では肺胞上皮が間質に漏出した水分に対し隔壁となっている).間質腔は漏出した水分を蓄える働きをしているが,ここに達した水分は間質腔内を中枢側へと移動していきリンパ管がそれらを再吸収している.
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