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特集 呼吸不全患者を取り巻く課題
吸気筋トレーニングの現状と展望—科学的エビデンスを中心に
Present and Future of Inspiratory Muscle Training:With Respect to Scientific Evidence
塩谷 隆信
1
Takanobu Shioya
1
1秋田大学大学院医学系研究科保健学専攻理学療法学講座
1Akita University Graduate School of Health Sciences, Department of Physical Therapy
pp.1193-1201
発行日 2016年12月15日
Published Date 2016/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404206082
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吸気筋トレーニングとは
吸気筋トレーニング(inspiratory muscle training;IMT)は,呼吸リハビリテーション(呼吸リハ)の運動療法において基礎的な種目の一つである1,2).現在,IMTについては慢性閉塞性肺疾患(chronic obstructive pulmonary disease;COPD)に関するものが最も多く,その有用性に関してメタアナリシスもいくつか報告されている3〜6).IMTの有用性に関しては,COPD以外には,胸郭拘束性疾患7),神経筋疾患8〜10),心臓血管外科周術期11),心不全12,13),脳卒中14)などで報告されている.しかし,IMTの有用性に関しては,呼吸筋力,呼吸筋持久力,全身運動耐容能の改善が報告されている一方で,著明な改善効果がみられなかったという報告もある3,4).
従来の呼吸リハ・ガイドラインの報告では,COPDにおけるIMTによる効果が一定していないこともあり,IMTに関する評価は必ずしも高いとはいえなかった15).しかし,近年,IMTに関して,その実施方法の改善,新しいトレーニング機器の開発が行われた結果,IMTの有用性に関する成績が多く報告されるとともに,エビデンスレベルが高くなっている.このようなIMTに関する新しい潮流が生まれている状況を踏まえて,本稿では,COPDにおけるIMTの現状とその展望について,最新の科学的エビデンスを引用して概説する.
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