増大号 極める!呼吸機能検査 患者を診る力が成功のカギ
6章 肺拡散能検査の失敗例とその対応
吸気のスタートが一致しない
清水 康平
1
1東邦大学医療センター大森病院臨床生理機能検査部
キーワード:
4種混合ガスの切り替えが遅い
,
患者の理解度
,
粘らせすぎている
Keyword:
4種混合ガスの切り替えが遅い
,
患者の理解度
,
粘らせすぎている
pp.256-257
発行日 2025年2月1日
Published Date 2025/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.030126110530020256
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- 文献概要
原因分析
特に経験の浅い臨床検査技師によくありがちな失敗例である.多くは患者がまだ吐けると思っているうちに患者が限界を迎えてしまい,4種混合ガスに切り替える前に患者が吸い始めてしまうことが原因となる(図).時に患者の検査理解が不十分で起こることもあるが,検者側が患者の吐き切るタイミング(これ以上吐けないタイミング)を見落としていることが多い.
また,肺拡散能(diffusing capacity of the lung for carbon monoxide:DLCO)測定の際に妥当性の基準でもある“吸気が肺活量(vital capacity:VC)の90%以上”を意識しすぎて,最大吸気前の呼出を粘らせすぎているところも散見される.VCや努力肺活量(forced vital capacity:FVC)測定の際にプラトー直前まで粘ることができている患者は比較的粘っても問題ないが,間質性肺炎の患者や,やせ型で呼吸筋の弱い患者や若年の患者などではすぐに吐き切ってしまうため,呼出を粘れず,吸気をしてしまう,もしくは吸気が不十分になることもある.
*本論文中、[▶動画]マークにつきましては、関連する動画を見ることができます(公開期間:2028年2月29日まで)。
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