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はじめに
ポジトロン断層法(positron emission tomography;PET)は,使用する機器の進歩によりこれまでの単一光子放射断層撮影(single photon emission computed tomography;SPECT)と比較して,より高感度かつ高分解能の画像を得ることが可能となった.また,standardized uptake value(SUV)に代表される簡易的な定量を行うことができ,使用する核種(標識化合物)を変更することによって,対象となる組織における様々な代謝の状況を知ることができる特徴がある.最も代表的な標識化合物であるフルオロデオキシグルコース(18F-FDG)は,悪性細胞でのグルコースの取り込みが増加していることを利用して,悪性腫瘍の検出に用いられてきた.さらに現在多くの施設で用いられているPET-CTは形態画像であるCTと機能画像であるPETを融合させることにより,より病変の局在を明らかにすることが可能となり,より高分解能な画像を短時間に撮影できる装置も次々に発売されている.
一方で18F-FDG-PETが,がんの診断に有効であるという報告が相次ぎ,当初はがん診断における万能の画像診断法であると思われていたPET検査も,多くの臨床研究の結果から様々なlimitationが明らかとなった.よく知られているのは,小型の悪性腫瘍(特に10mm以下の腫瘍)では検出できないものがある点や,高分化型の組織型や増殖スピードの遅い腫瘍などでは検出が難しいことがある点などである.PETの登場によって,がん画像診断に一つのパラダイムシフトが起こったことは確かであるが,過信や乱用は禁物であるということだろう.本稿では,肺癌評価におけるPETの有用性と課題について,最近のガイドライン1〜3)を参考にTNMの各因子別に論じる(表1).
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