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Bedside Teaching
心臓手術における経食道心エコー
Transesophageal Echocardiography in Cardiac Surgery
山田 達也
1
Tatsuya Yamada
1
1杏林大学医学部麻酔学教室
1Department of Anesthesiology, Kyorin University, School of Medicine
pp.807-814
発行日 2016年8月15日
Published Date 2016/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404206015
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はじめに
経食道心エコー(transesophageal echocardiography;TEE)は,手術の進行を妨げることなく,リアルタイムに心機能や弁機能を観察,評価することが可能であり,心臓手術の必須のモニターとなっている.2010年に出されたAmerican Society of Anesthesiologists(ASA)とSociety of Cardiovascular Anesthesiologists(SCA)のガイドライン1)では,心臓大血管手術における周術期TEEの適応として,①術前診断の再確認,②術前に診断されていなかった解剖学的所見の検索,③麻酔法や手術術式の決定や変更,④手術結果の評価を挙げている.加えて,術前の心機能評価,体外循環確立の補助や,周術期の心筋虚血や心腔内遺残空気の診断にも用いられる.手術結果の評価は,再手術の頻度を減らすことに貢献している.European Association of Echocardiography(EAE)とEuropean Association of Cardiothoracic Anesthesiologists(EACTA)の改訂版2)を参考に作成した,心臓手術におけるTEEの役割を表1に示す.さらに,患者が有する心疾患や手術に伴う呼吸・循環・脳合併症のモニタリングや,説明がつかない低血圧や低酸素血症が持続する場合の診断ならびに治療方針の決定にもTEEは用いられる.
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