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特集 COPD合併肺癌:病因論から治療まで
健診における肺癌およびCOPDスクリーニング
Lung Cancer and COPD Detection in Community-based Annual Lung Cancer Screening Program
関根 康雄
1
Yasuo Sekine
1
1東京女子医科大学八千代医療センター呼吸器外科
1Tokyo Women's Medical University Yachiyo Medical Center, Department of General Thoracic Surgery
pp.771-776
発行日 2016年8月15日
Published Date 2016/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404206010
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はじめに
慢性閉塞性肺疾患(COPD)および肺癌は増加傾向を示す重大疾患であり,WHOの報告でも10大死亡原因に挙がっている1).タバコなどの有害物質の長期曝露により引き起こされるCOPDは単なる呼吸器疾患ではなく,肺の慢性炎症が全身に波及し,様々な合併症を引き起こしている2).しかしながらCOPDの発見は容易ではない.潜在患者は日本に530万人いるといわれながら,その90%は未診断のままである3).COPDは肺癌の高危険因子であることはよく知られており,肺癌患者の半数はCOPDを合併しているといわれている.その組織型も多岐にわたるため,進行例・難治例が非常に多い.
両疾患は非常に深い関連を有しており4),両者とも早期発見・早期治療が最も重要かつ有効な対処法である.肺癌に対しては低線量CT(low-dose CT;LDCT)の有効性が示されているが,コスト,人員,対象者の絞り込みをどうするかといった問題が解決されておらず,いまだ人間ドックなどの自費による健診にとどまっている.そこでわれわれは千葉市の肺癌健診事業を利用して,肺癌およびCOPDの早期発見ができないかと考え,実践している.そしてCOPD患者に対する定期的CT検査が肺癌の早期発見にもつながるのではないかと期待している.
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