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English
特集 Acute Aortic Syndrome—最新の話題と今後の展望
Acute Aortic Syndromeの発症機序—病理学から
Pathophysiological Mechanism of the Acute Aortic Syndrome
池田 善彦
1
Yoshihiko Ikeda
1
1国立循環器病研究センター病理部臨床病理科
1Department of Pathology, National Cerebral and Cardiovascular Center
pp.421-427
発行日 2016年5月15日
Published Date 2016/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404205949
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はじめに
急性大動脈解離の成因には,動脈硬化が基礎となる場合と動脈硬化とは異なった機序で発生する場合の大きく2つに分けられる.前者には,penetrating atherosclerotic ulcer(PAU)を基盤とし,intimal ulcerationあるいはmedial hematomaから解離に進展する病態が含まれる1〜6).後者はEhlers-Danlos症候群やMarfan症候群(MFS)などにおいて,高頻度に認められてきた病態である.近年では,MFSの臨床的および病理学的特徴を有する症候群のなかに,transforming growth factor β receptor 1および2(TGFBR1,TGFBR2)の遺伝子変異の結果生じる常染色体優性遺伝性疾患のあることが明らかとなり,Loeys-Dietz症候群(LDS)として報告例が増加している.また,平滑筋αアクチン(ACTA2)や平滑筋ミオシン重鎖11(MYH11),SMAD3変異といった構造蛋白の変異も報告されている.本稿では,動脈硬化性病変から生じる解離と非動脈硬化性の解離について,症例を提示しながら述べる.
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