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特集 呼吸器病学 黎明期から現在
びまん性汎細気管支炎およびマクロライド療法
Diffuse Panbronchiolitis and Macrolide Therapy
工藤 翔二
1,2
Shoji Kudoh
1,2
1公益財団法人結核予防会
2日本医科大学
1Japan Anti-Tuberculosis Association
pp.349-357
発行日 2016年4月15日
Published Date 2016/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404205936
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はじめに
びまん性汎細気管支炎(diffuse panbronchiolitis;DPB)は,呼吸細気管支領域の慢性炎症を特徴とし,合併する慢性気道感染の進行とともに呼吸不全に至るわが国の代表的な難治性気道系疾患である.1969年,本間,山中らによって臨床病理学的概念が提唱され45年余を経た今日,DPBは東アジアに集積する独立疾患として国際的に広く認められ,疾患感受性遺伝子の解明が進められてきた.一方,本疾患の治療法として1984年,筆者らによるエリスロマイシン(EM)少量長期療法が発見され,予後の著しい改善をもたらした.同時に,慢性気道感染症の病態解明の進歩と,14員環,15員環マクロライドが有する抗菌活性以外の作用(新作用,novel action)に係わる研究領域に,新たな展開をもたらした.今日,わが国に始まるEM療法は,14員環,15員環マクロライドを包括したマクロライド療法として世界的な研究テーマに発展し,DPBやcystic fibrosisなどの稀な疾患から,COPD急性増悪の軽減,致死的インフルエンザ感染の抑制,肺炎の重症化抑制など,コモンディジーズに向かって臨床応用が拡大している.
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