増刊号 Common Disease 200の治療戦略
呼吸器疾患
びまん性汎細気管支炎
吾妻 安良太
1
,
橋元 恭士
1
,
榎本 達治
1
,
工藤 翔二
1
1日本医科大学第4内科
pp.295-297
発行日 1995年11月30日
Published Date 1995/11/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402904088
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疾患概念と病態
びまん性汎細気管支炎(diffuse panbronchiolitis:DPB)は,1969年に本間,山中らによって臨床病理学的に独立した疾患として提案され,1983年に初めて欧米誌(Chest)にその疾患概念が紹介された.現在まで,日本人(モンゴリアン)に多いとされる慢性気道炎症性疾患である.
その臨床像は,咳嗽,喀痰および息切れを主徴とし,胸部聴診上,80%以上に水泡音を聴取する.胸部X線像では両肺野のびまん性散布性粒状影(初診時約70%,最終診断時約90%に認められる),あるいは胸部CT像において小葉中心性の粒状影が認められ,しばしば過膨張所見を伴う.血液ガス所見では低酸素血症(80torr以下)を呈し,呼吸機能検査では1秒率低下(70%以下)が特徴的で,進行すると肺活量の減少,残気率(量)の増加を伴う.しかし,通常は拡散能の低下はみられない.さらに血清学的検査では寒冷凝集素価が64倍以上の高値を呈する.その持続的高値はDPBに特有とされ,単なる診断基準の一つにとどまらず,病因・病態の解明に重要な所見と考えられている.
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