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特集 呼吸器病学 黎明期から現在
肺癌内科治療の黎明期から現在—First peakから眺望できるものは何か?
From Dawn to Present in the Medical Oncology for Lung Cancer:What Perspective is Available from a Halfway Peak of the Lung Cancer Treatmert?
貫和 敏博
1,2
Toshihiro Nukiwa
1,2
1公益財団法人結核予防会
2NPO法人北東日本研究機構(NEJSG)
1Japan Anti-Tuberculosis Association
2North East Japan Study Group
pp.340-348
発行日 2016年4月15日
Published Date 2016/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404205935
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はじめに
登山をすると実感するが,行程の眺望は最初のピークに達して初めて得られる.歩いてきた沢筋や尾根道が見え,現在までの稜線の流れを理解し,さらに引き続く本峰のアタックの選択肢が具体的に見えてくる.肺癌治療(固形腫瘍治療)におけるこの最初のピークは2004年のEGFR driver変異の発見に相当する.その理由は,固形腫瘍でありながら直接に細胞死を惹起しうる方法論が可能になったからである.では本来cytotoxic drugとして開発された抗癌剤の意義は何であったのか? また癌化(言い換えるとサバイバル獲得)に伴う癌細胞の宿主細胞制御の解明とその治療応用はどう展開するのか? かかる疑問にその眺望が期待される次のピークが2016年の現場である.本小文はcytotoxic drugs(1956年〜),cancer cell driver mutation and targeting drugs(1992年〜),dual direction(cancer cell and host cell)targeting(2004年〜)に分けて筆者の私見を述べたい.肺癌治療には内科治療以外にも外科手術療法,放射線照射治療も大きいが,上記議論を展開するため今回は取り上げない.
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