Japanese
English
特集 呼吸器疾患における慢性炎症を考える
特発性肺線維症に対する薬物治療
Pharmacological Treatment of Idiopathic Pulmonary Fibrosis
小田 桂士
1
,
迎 寛
1
Keishi Oda
1
,
Hiroshi Mukae
1
1産業医科大学医学部呼吸器内科学
1Department of Respiratory Medicine, University of Occupational and Environmental Health
pp.169-172
発行日 2016年2月15日
Published Date 2016/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404205904
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
はじめに
近年,特発性肺線維症(IPF)に対する治療は大きく変化した.2000年に米国胸部学会(ATS)/欧州呼吸器学会議(ERS)によって発表された共同声明1)では,IPFに対してステロイドと免疫抑制剤による抗炎症治療が暫定的に推奨治療として位置付けられていた.しかしその後,IPFの病態が様々な外的・内因的刺激による肺胞上皮傷害に伴う修復異常として説明されるようになり,2011年にATS/ERS/日本呼吸器学会(JRS)/南米胸部学会(ALAT)によって発表された国際ガイドライン2)では,IPFに対する推奨される薬物治療がなくなった.その後,抗線維化薬におけるいくつかの臨床試験の結果が発表され,2015年に改訂されたガイドライン3)では,2つの抗線維化薬が推奨薬剤として記載されるようになった.このようにIPFに対する治療は抗炎症治療から抗線維化治療へ変化した.本稿では,新規治療薬としてガイドラインで推奨された薬剤を中心に,IPFに対する薬物治療について述べる.
Copyright © 2016, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.