Japanese
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特集 呼吸器疾患における慢性炎症を考える
特発性肺線維症とGWAS解析
Genome-wide Association Study for Idiopathic Pulmonary Fibrosis
石井 健男
1,2
Takeo Ishii
1,2
1日本医科大学呼吸ケアクリニック
2日本医科大学大学院医学研究科呼吸器内科学分野
1Respiratory Care Clinic, Nippon Medical School
pp.163-168
発行日 2016年2月15日
Published Date 2016/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404205903
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はじめに
間質性肺炎とは,胸部放射線画像上両側びまん性の陰影を認める疾患のうち,肺の間質を炎症の場とする疾患である.そのうち,原因が特定できていないものを特発性間質性肺炎と呼び,特発性肺線維症(idiopathic pulmonary fibrosis;IPF)はその代表格である1).予後が悪く,新規治療法,予後予測の観点からも,病態解明が求められ,家族集積性から遺伝的素因が想定されるため,原因遺伝子探索が進められてきた.familial interstitial pneumonia(FIP)の家系をもとにした探索がされ,サーファクタント蛋白やテロメラーゼ関連蛋白の関与が報告された.また近年は,IPFのgenome-wide association study(GWAS)が行われ,関連遺伝子としてMUC5B,TOLLIPおよびテロメラーゼ関連遺伝子などが報告されている.故に,IPFへの細菌感染や免疫能の関与や老化の関連が推測される.IPF特異的な炎症を介した病態形成が推測され,新規治療開発などの観点からその解析の進展が望まれる.直近に同様の総説記載を行っており2),本原稿ではより“炎症”に関連した内容に言及,またさらに直近の論文を盛り込み私見も加えているが,内容の重複をご容赦いただきたい.
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