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特集 わが国における脳・心血管疾患予防のための疫学研究
久山町研究
The Hisayama Study
清原 裕
1
Yutaka Kiyohara
1
1九州大学大学院医学研究院環境医学分野
1Department of Environmental Medicine, Graduate School of Medical Sciences, Kyushu University
pp.21-28
発行日 2016年1月15日
Published Date 2016/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404205879
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はじめに
1950年代,脳卒中はわが国の死因の第1位を占め,その死亡率は世界で最も高かった.その後,脳卒中死亡率は1970年代から減少傾向に転じて1990年代に入ると欧米先進諸国と肩を並べるまでに低下した.虚血性心疾患の年齢調整死亡率も1970年代より緩やかに減少傾向を示している.このような日本人の心血管病死亡率の減少は,動脈硬化のリスクが高い高齢者の大幅な増加をもたらした.またわが国では,戦後のめざましい経済成長とともに生活習慣が西洋文化の影響を受け,肥満や糖尿病の増加など新たな健康課題が生まれている.このような社会・生活環境の変動は,心血管病をはじめとする生活習慣病とその危険因子にも大きな変化を与えたと推察される.
福岡県久山町では,長年にわたり精度の高い生活習慣病の疫学調査(久山町研究)が進行中である.本稿では,久山町研究の成績より,わが国の地域住民における心血管病とその危険因子の時代的推移と現状を明らかにし,現代の課題をさぐる.
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