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特集 わが国における脳・心血管疾患予防のための疫学研究
脳卒中予防を目的とした地域比較研究—CIRCS研究
Circulatory Risk in Communities Study(CIRCS):a cross-regional study for stroke prevention
村木 功
1
,
磯 博康
2
Isao Muraki
1
,
Hiroyasu Iso
2
1大阪がん循環器病予防センター循環器病予防部門
2大阪大学大学院医学系研究科社会環境医学講座公衆衛生学
1Department of Cardiovascular Disease Prevention, Osaka Center for Cancer and Cardiovascular Disease Prevention
2Public Health, Department of Social and Environmental Medicine, Osaka University Graduate School of Medicine
pp.15-19
発行日 2016年1月15日
Published Date 2016/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404205877
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はじめに
1963年に秋田県南秋田郡井川町,本荘市(現・由利本荘市)石沢地区,大阪府八尾市南高安地区の3地域からCirculatory Risk in Communities Study(CIRCS研究)は始まった.当時,秋田県では日本一脳卒中が多かった一方,八尾市でも大阪府内において脳卒中が多く,国保財政を圧迫していたことから,脳卒中の原因究明と予防対策の推進が本研究の目的であった.その後,1969年より高知県野市町(現・香南市野市地区),1981年より茨城県協和町(現・筑西市協和地区)が加わった.社会情勢の変化などから当初より対象地域となっていた秋田県石沢地区,1969年より対象地域に加わった高知県野市地区での研究が継続できなくなっているが,1963年から半世紀を経た現在も3地域(秋田,大阪,茨城)においてCIRCS研究は継続されている.
CIRCS研究では他の疫学研究と同様に,脳卒中・虚血性心疾患の危険因子の解明を行っているが,最大の特徴は循環器疾患発生状況の地域間比較,長期的な脳卒中発生に対する各危険因子の集団における寄与の大きさ(集団寄与危険割合)の検討に加え,地域における予防対策(地域介入)の予防効果や費用対効果の評価を行っている点である.本節では,CIRCS研究における脳卒中・虚血性心疾患の発症トレンド,脳卒中発症に対する高血圧の集団寄与危険割合の推移,地域介入の予防効果および費用対効果の検討について紹介する.
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