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久山町研究の展開
勝木 司馬之助
1
1九大第2内科
pp.1582-1584
発行日 1970年10月10日
Published Date 1970/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402203374
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脳卒中・心筋硬塞は基本的病変の終着駅
脳硬塞や心筋硬塞患者がわれわれ内科医のところに来るのはその発作が起こってからのことである.元来,脳卒中にしろ心筋硬塞にしろ動脈病変と高血圧が基本にあり,両者は互いに影響し合っていて,さらにそれにその他の要因が加わって,終末現象として現われる病気であるから,われわれがみせられた時点ではその病態は多くの場合きわめて危険でありかつ救いがたいものが多い.つまりこれらの基本的病変の終着駅においてわれわれははじめてこれを手がけることになる.したがってその対策は全力投球を必要とし,近代的にはたとえばICUとかCCUといったような特定の設備と人とが用意されることになってきた.これは実地の開業医家では少なくとも現在の健保制度で十分に手が行き届くとは言い難いと思う.
動脈硬化や高血圧がかなり若年時代からはじまることは周知である.これが歳とともに潜在性に進行し,ある時点ではじめて初期的な臨床変化または軽微な症状を示すものである.この時点では患者は苦痛を訴えないことが多いために,医師が進んで検査する以外には病変を発見することができないことが多い.つまり,一見健康な状態から脳卒中,虚血性心病変の発現まで,病変の進行は連続性であって,どの時点から病気とするか,どうしてこれをとらえるかが問題なのである.ことに慢性疾患においては健康と疾病との間に常にこのような問題が存在する.
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