Japanese
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綜説
大動脈疾患治療の最新の進歩
Innovative Advancement and Development of Treatment for Aortic Pathology
志水 秀行
1
Hideyuki Shimizu
1
1慶應義塾大学医学部外科(心臓血管)
1Division of Cardiovascular Surgery, Department of Surgery, Keio University School of Medicine
pp.1094-1100
発行日 2015年11月15日
Published Date 2015/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404205845
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大動脈疾患は,先天性あるいは後天性の原因によって血管壁が脆弱化するために生じるものであり,主な疾患として大動脈瘤と大動脈解離がある.大動脈瘤は無症状のうちに大動脈が拡大し,破裂すれば直ちに生命の危機に陥る.大動脈解離は突然発症し,発症直後から破裂や臓器虚血の危険性を伴い,しばしば致命的である.基礎研究によって,それらの発症機序が少しずつ解明されてきたが,発症や瘤径拡大を予防できる内科的治療法は現時点では存在せず,手術が唯一の治療法である.手術術式は,従来から行われている人工血管置換術とステントグラフト(SG)治療に大別される.
人工血管置換術は,開胸・開腹操作,大動脈の血流遮断,人工心肺の使用などを要し手術侵襲性が高いが,耐術例においては遠隔イベントの発生が少なく確実性の高い治療法である.多くの外科医や研究者によって術式や臓器保護法の工夫,人工血管や縫合糸の改良などが幅広く行われたことにより,近年の手術成績は良好である.
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