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特集 循環器疾患のリスク管理
循環器疾患における感染のリスク管理
Risk Management of Infection in Patients with Cardiovascular Disease
志水 秀行
1
Hideyuki Shimizu
1
1慶應義塾大学医学部心臓血管外科
1Department of Cardiovascular Surgery, Keio University School of Medicine
pp.143-149
発行日 2008年2月15日
Published Date 2008/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404100976
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感染性心内膜炎(infective endocarditis;IE)は,弁膜や心内膜,大血管内膜に細菌集簇を含む疣腫(vegitation)を形成し,菌血症,血管塞栓,心障害など多彩な臨床症状を呈する全身性敗血症性疾患である1).発生頻度は人口100万人あたり年間10~50例といわれ,適切な診断と治療がなされなければ致命的となる.多くの場合,異常血流や異物の影響によってもともと存在する心内膜損傷部位に血小板やフィブリンが凝集して非細菌性血栓性心内膜炎(nonbacterialthrombogenic endocarditis;NBTE)の状態となり,そこに小処置や感染に伴う一過性の菌血症の際に菌が付着・増殖して疣腫(vegitation)を形成しIEが発症すると考えられている.異常血流の原因は弁膜症や先天性心疾患などが代表的なものであり,人工弁・人工ペースメーカ・留置カテーテルなどは血流内異物そのものであるから,これら循環器疾患は明らかにIEに対するハイリスク群といえる.
循環器疾患における感染リスクを低減するには,まずIEの予防策が重要である.また,感染を100%予防することは不可能であり,発症例に対する迅速な診断と適切な治療も極めて重要といえる.
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