特集 高齢者における循環器診療
高齢者における代表的循環器疾患とその治療
大動脈・末梢動脈疾患
菅野 晃靖
1
1横浜市立大学医学部循環器・腎臓・高血圧内科学
キーワード:
大動脈緊急症
,
胸腹部大動脈瘤
,
間欠性跛行
,
重症下肢虚血(包括的高度慢性下肢虚血)
Keyword:
大動脈緊急症
,
胸腹部大動脈瘤
,
間欠性跛行
,
重症下肢虚血(包括的高度慢性下肢虚血)
pp.903-907
発行日 2020年11月1日
Published Date 2020/11/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_naika126_903
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
Summary
▪動脈硬化は加齢とともに進展し,高齢者の大動脈・末梢動脈疾患の多くは動脈硬化症を基盤とする.
▪高齢者における急性大動脈解離,大動脈瘤破裂・切迫破裂など,いわゆる大動脈緊急症は,緊急性が高い重篤な病態でも自覚症状が軽微なことがある.
▪高齢者の末梢動脈疾患(PAD)における特徴は,サルコペニアやフレイルといった背景病態のため間欠性跛行の症状が出にくく,たとえ自覚症状が出現しても高齢のためとの自己判断や併存する整形外科疾患のため見落とされ,病期が進行し重症下肢虚血を呈してから診断される場合がある.
▪高齢者においては,重症化する前に大動脈・末梢動脈疾患を発見すべく,その存在を念頭に置いて診療にあたる.とくにPADのスクリーニングには足関節上腕血圧比(ABI)が有用である.
© Nankodo Co., Ltd., 2020