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誤嚥性肺炎に関する最近1年間の話題
[1]診断
嚥下障害や誤嚥の診断法として,生理食塩水を使った嚥下反射検査,反復唾液嚥下検査,水飲みテスト,喉頭内視鏡検査に加え,造影剤の誤嚥を透視で観察する「嚥下造影検査」(videofluoroscopic examination of swallowing;VF)が実施されてきた.嚥下造影検査は正確さに優れているがベットサイドで行えない,あるいは高度誤嚥のある患者やADL(activities of daily living:日常生活動作)の低下している患者には行えない特徴がある.食餌の嚥下能力を測定するために,生理食塩水の代わりに,本邦では「トロミ水テスト」が,海外ではネクターやプディング状の水を嚥下する検査(volume-viscosity swallow test;V-VST)が行われている1).Rofesらは嚥下物の量と粘性を変えて,症状(口唇の閉鎖運動障害,飲み下し障害,食物の残存)や嚥下時の変化(咳,声の変化,酸素濃度の低下)を評価するV-VSTを行い,嚥下障害のある患者で嚥下造影検査法に匹敵する良好な結果を得た1).Kangらは放射性テクネシウムを含有した生理食塩液を舌下に注入して,シンチグラムで気管への流入を評価するsalivagramを実施した2).脳傷害で気管切開している患者では放射性テクネシウム注入50分後に唾液の誤嚥が44%に認められ,喉頭内視鏡検査に比べて高い検出率を示した.放射線核種を用いる制限はあるが,鋭敏な評価法であると思われる.
誤嚥性肺炎の病原菌検索に関しては気管支肺胞洗浄液や喀痰を用いた培養および遺伝子検索の報告が行われている(詳細はトピックスで紹介)3).FukuyamaらはCAP(community-acquired pneumonia:市中肺炎)およびHCAP(healthcare-associated pneumonia:医療ケア関連肺炎)患者を対象に抗菌薬投与前の喀痰を集め,グラム染色の有用性を評価した4).肺炎球菌の感度が63%,特異度が92%,インフルエンザ菌の感度が61%,特異度が98%などの結果が得られ,グラム染色が原因菌同定に有用であると結論した.
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