Japanese
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Bedside Teaching
抗血栓療法中患者における消化器内視鏡診療時の対応と注意点
Management of Antithrombotic Therapy for Patients Undergoing Digestive Endoscopy
水野 滋章
1
,
佐藤 秀樹
1
,
森山 光彦
1
Shigeaki Mizuno
1
,
Hideki Sato
1
,
Mitsuhiko Moriyama
1
1日本大学医学部内科学系消化器肝臓内科学分野
1Department of Gastroenterology and Hepatology, Nihon University School of Medicine
pp.768-775
発行日 2015年8月15日
Published Date 2015/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404205764
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はじめに
本邦では未曾有の人口の高齢化が進み,それに伴い血栓塞栓症,動脈硬化性疾患が増加し,その治療,予防のために抗血小板薬と抗凝固薬および血栓溶解薬を含めた抗血栓薬の使用患者が増加している.一方,日常診療において消化器系の症状や疾患での受診患者は多く,また胃,大腸,食道,胆道,膵臓などの消化器癌は,比率も高く重要である.消化管,胆道や膵臓疾患の診療において内視鏡の果たす役割は大きく,診断,治療手技も多岐にわたる.消化器疾患,消化器内視鏡時の合併症として,出血は最も頻度の高いものの一つであり,抗血栓療法中の患者での対応がより大きな問題となっている.
消化器内視鏡診療時の抗血栓薬の休薬方法については,ガイドラインやハンドブックの形で日本消化器内視鏡学会から出版されていたが,2012年7月に改訂されて“抗血栓薬服用者に対する消化器内視鏡診療ガイドライン”1)として発表された.本ガイドラインでは,エビデンスレベルの低いもの,コンセンサスが得られていない部分もあり,その内容も抗血栓薬多剤服用時には複雑で熟読しないと理解しづらい部分もある.そして実際の対応については患者ごと,施設ごとに検討するとされていて,一部診療現場での混乱もみられる.
抗血栓療法中の患者での消化器内視鏡診療時の対応と注意点について,日本消化器内視鏡学会のガイドラインを中心に解説し,実際の対応について述べる.
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