レビューでわかる! いまどき診療エビデンス[27]
高齢者の誤嚥性肺炎の予防
星野 智祥
1
1太田西ノ内病院総合診療科
pp.434-438
発行日 2008年5月15日
Published Date 2008/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414101424
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Q1 高齢者に対する胃瘻造設は,誤嚥性肺炎の予防になりますか?
1980年にpercutaneous endoscopic gastrostomy(PEG)が初めて報告されてから1),摂食障害に陥った患者に対する胃瘻造設術の施行件数が増えてきた.プライマリ・ケアの現場ではその対象者は認知症を抱えた高齢者が中心である.胃瘻造設の目的はさまざまであるが,摂食障害や嚥下障害に陥った高齢者は誤嚥性肺炎のリスクが高まるため,それを予防する目的で胃瘻造設が施行されることは少なくない.しかし,医療者側の意に反して,認知症患者において,胃瘻を含む経管栄養の誤嚥性肺炎に対する予防効果を検証したいくつかのsystematic reviewでは,それを支持する十分なエビデンスが存在していない結果となっている2, 3, 4).
実際,高齢者の誤嚥性肺炎は,食事内容や逆流した胃内容物が気管支に吸引されて引き起こされる以外に,汚染された唾液による気管支への吸引,いわゆる不顕性誤嚥(silent aspiration)の関与が無視できない.
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