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特集 睡眠時無呼吸症候群(SAS)—臨床に役立つ最新知識Up to Date
睡眠時無呼吸症候群の治療効果の判定
Evaluation of Treatment in Patients with Sleep Apnea Syndrome
赤柴 恒人
1
Tsuneto Akashiba
1
1日本大学医学部睡眠学・呼吸器内科学分野
1Department of Sleep and Respiratory Medicine, Nihon University School of Medicine
pp.751-753
発行日 2015年8月15日
Published Date 2015/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404205761
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治療効果の判定
睡眠時無呼吸症候群(SAS)に対する治療効果の判定は,その目的により当然異なってくる.例えば減量がSASの病態に及ぼす効果を知るには,減量前後にPSG(polysomnography)を行ってPSGの指標(apnea-hyopnea index;AHIなど)の変化を比較検討する必要があるし,血圧に対する減量の効果が目的であれば治療前後の血圧の値が必要になる.したがって,その目的により何をどう判定すべきか全く変わってしまうため一概には言えない.おそらく,最も現実的なのは,SASに対して有効性が示されているnasal CPAP(nCPAP)治療の真の有効性をどう評価するかが最も重要な点であろう.そこで本稿では,SAS患者におけるnCPAP治療の有効性の評価法に限って詳述する.
現代においては治療の真の有効性を評価するためにはrandomized controlled trial(RCT)が必須であると考えられている.薬物療法においてはプラセボ錠によるコントロールの設定が大前提となる.しかし,nCPAP治療は毎晩器具を装着し大量の空気を吸入しながら就寝するという特殊な治療法であるためコントロールの設定が難しいという問題点があった.それでも,当初は,プラセボ錠をコントロールとしてRCTが行われていた.錠剤服用群をコントロールとしてnCPAP群と比較してその有効性を報告した論文が1990年代の後半にLancetやThoraxに掲載されている1〜3).しかし,このプラセボ錠が果たしてコントロールとして適切であるか否かについては必ずしも一定の見解が得られていなかった.
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