巻頭言
重症喘息治療への期待
石塚 全
1
1福井大学医学部病態制御医学講座内科学(3)
pp.705
発行日 2015年8月15日
Published Date 2015/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404205753
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1984年に内科研修医として働き始めた頃には,喘息患者が病棟によく入院していた.当時は経口抗アレルギー薬,徐放性テオフィリン薬が出始めた頃で,長期管理薬としてテオフィリン,経口β2刺激薬,経口抗アレルギー薬が処方され,減感作療法,変調療法を受けている患者が多かったが,吸入ステロイド薬(ICS)はあまり使用されていなかった.大学病院での1年間の研修後,内科医として一般病院に勤務しながら学位を取得し,病院近くの企業の研究所や大学で喘息やアレルギーに関連した基礎研究を細々と続けていた.そんななかで1992年10月に瀧島 任先生が監修,井上洋西先生が翻訳され,出版された「喘息の診断と管理のための国際委員会報告」を読んでかなりの衝撃を受けた.喘息発作は気道の炎症に起因するから,管理の早期からICS(CFC-BDP)またはクロモリンを喘息治療の第一選択薬とする内容だった.それまではICSは経口ステロイド薬の離脱目的に使用する薬剤だと理解していた.さっそく患者さんに,当時1パフ50μgだったCFC-BDPを1日8〜16パフ吸入するように指導したところ,かなり有効だという感触を得たが,同時に,将来,喘息の研究をしてもつまらなくなるような予感もした.
約3年半,米国に留学し,1998年に群馬大学第一内科へ助手として戻ったが,その間にロイコトリエン拮抗薬が市場に導入されており,より強力なICS,長時間作用性吸入β2刺激薬,それらの配合剤が次々登場してきて,内科病棟に喘息患者が入院してくることは極めて少なくなった.
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