Japanese
English
Current Opinion
脳卒中急性期の血圧管理
Blood Pressure Management in Acute Stroke
豊田 一則
1
Kazunori Toyoda
1
1国立循環器病研究センター脳血管内科
1Department of Cerebrovascular Medicine, National Cerebral and Cardiovascular Center
pp.682-688
発行日 2015年7月15日
Published Date 2015/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404205748
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
2014年の研究動向
脳卒中急性期の降圧治療は,長年にわたって禁忌ないしごく緩徐に行うように勧められてきた.これは,降圧に伴う脳循環不全領域の拡大を恐れたことが主因であろう.近年になって大規模試験などの新知見が蓄積され,次第に急性期降圧の意義や効果が分かってきたが,科学的根拠に基づく診療指針が確立したとは依然言い難い.特に脳出血と脳梗塞は降圧治療の意義が大いに異なり,本来分けて考えるべきだが,脳出血発症が少なく同疾患が軽視されがちな欧米の研究では,脳梗塞と脳出血を併せて治療法が論じられることも多い.脳出血患者が相対的に多い,日本などの東アジアから,積極的な情報発信が必要な課題である.
脳卒中急性期の血圧管理に関する2014年の研究として,成果発表が待ち望まれたのはEfficacy of Nitric Oxide in Stroke(ENOS)試験であろう1).2013年に同じ研究者らが発表した発症後4時間以内(中央値55分)の脳卒中患者41例から成るRapid Intervention with Glyceryl Trinitrate in Hypertensive Stroke Trial(RIGHT)で,登録後7日間のニトログリセリン貼付薬(初回貼付を救急車内で施行)による降圧治療が,90日後modified Rankin Scale〔mRS:0(無症候,無障害)〜6(死亡)〕のシフト解析で評価した自立度を有意に改善させた(p=0.04)2).ENOSは4,011例の脳卒中患者(脳出血629例を含む)を登録した大規模試験で,RIGHTの成績が再現されるかが注目された.
Copyright © 2015, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.