Japanese
English
総説
虚血性脳卒中の急性期管理におけるDOAC
Direct Oral Anticoagulants in Acute Phase Management of Ischemic Stroke
田中 寛大
1
,
豊田 一則
2
Kanta TANAKA
1
,
Kazunori TOYODA
2
1国立循環器病研究センター脳卒中集中治療科
2国立循環器病研究センター脳血管部門
1Division of Stroke Care Unit, National Cerebral and Cardiovascular Center
2Department of Cerebrovascular Medicine, National Cerebral and Cardiovascular Center
キーワード:
direct oral anticoagulant
,
nonvalvular atrial fibrillation
,
acute stroke
,
recanalization
,
safety
Keyword:
direct oral anticoagulant
,
nonvalvular atrial fibrillation
,
acute stroke
,
recanalization
,
safety
pp.959-968
発行日 2018年11月10日
Published Date 2018/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1436203849
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
Ⅰ.緒 言
非弁膜症性心房細動(nonvalvular atrial fibrillation:NVAF)による脳卒中ないし全身塞栓症の予防に対する直接経口抗凝固薬(direct oral anticoagulant:DOAC)の有効性・安全性は確立している3,10,11,29,33).ワルファリンと比べてDOACは効果の発現が早く,薬剤や食事との相互作用が小さい5,34).また,アジア人はワルファリンによる頭蓋内出血合併が非アジア人より多いため37),ワルファリンよりも頭蓋内出血が少ないDOACは33),日本人において特に有利な選択肢と考えられる.
2011年以降,トロンビン阻害薬のダビガトラン,第Ⅹa因子阻害薬のリバーロキサバン,アピキサバン,エドキサバンという4つのDOACが市場に登場し,広く使用されている.脳卒中二次予防におけるDOACの有効性・安全性は確立しているが7,8,13,32),急性期に直面する問題として,“いつ”抗凝固療法を開始するのか?という問いがある.ワルファリンの開始時期にしても高度のエビデンスはまだない.DOACの有効性・安全性を示した4つのランダム化比較試験(RCT)では,発症から7〜30日以内の急性期脳卒中患者が除外された3,10,11,29).そのため,頭蓋内出血リスクが低く,逆説的な凝固促進効果がないことから2,33),急性期においてワルファリンより有利と思われるDOACについても,“いつ”から開始するのが適切なのか,明確な指標はない.
Copyright © 2018, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.