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特集 肥大型心筋症の基礎と臨床
肥大型心筋症の臨床診断とリスク評価
Clinical Diagnosis and Risk Stratification for Hypertrophic Cardiomyopathy
森田 啓行
1
Hiroyuki Morita
1
1東京大学大学院医学系研究科健康医科学創造講座
1Department of Translational Research for Healthcare and Clinical Science, The University of Tokyo
pp.608-614
発行日 2015年7月15日
Published Date 2015/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404205736
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はじめに
肥大型心筋症は,高血圧,心筋虚血,弁膜症,アスリート心臓などの要因なく心室の心筋肥大を来す心筋疾患である.遺伝子変異が主な理由であることが明らかになっている.一般人口の500人に1人の頻度でみられ遺伝性循環器疾患のなかでは最も頻度が高い疾患である.左室拡張機能障害に始まるが,無症状から心不全,突然死を来すものまで症状は多様である.心肥大が始まる時期も10歳未満から50歳以降まで多様である.若年者突然死原因の第1位であり,突然死高リスク症例の予測は社会的にも重要な課題である.全体の約3分の1を占める閉塞性肥大型心筋症(hypertrophic obstructive cardiomyopathy;HOCM)では収縮期左室流出路狭窄のために,血行動態の異常を来しやすい.また,経過中に肥大心筋が菲薄化して拡張型心筋症と同様の病態を呈することがあり(拡張相肥大型心筋症),その場合は予後不良である.
肥大型心筋症の診断においては,心肥大を精査するだけではなく,流出路狭窄の有無,拡張機能障害および収縮機能障害の程度,心房細動や心室性不整脈の有無に注意が必要である.本稿では,まず肥大型心筋症の診断について概説し,さらに心不全への進行リスク,突然死リスクの評価方法に関して解説を加える.
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