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Bedside Teaching
CT,血管造影による慢性血栓塞栓性肺高血圧症(CTEPH)の画像診断
CT and Angiographic Diagnosis of Chronic Thromboembolic Pulmonary Hypertension
福田 哲也
1
Tetsuya Fukuda
1
1国立循環器病研究センター放射線部
1Department of Rediology, National Cerebral and Cardiovascular Center
pp.569-575
発行日 2015年6月15日
Published Date 2015/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404205725
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はじめに
慢性肺血栓塞栓症は,器質化した血栓により肺動脈が慢性的に閉塞した疾患の総称である.なかでも,血栓により狭窄あるいは閉塞した肺動脈の範囲が広いために肺高血圧症を合併し,労作時息切れなどの臨床症状が強い慢性血栓塞栓性肺高血圧症(chronic thromboembolic pulmonary hypertension;CTEPH)が臨床的に重要であり,生命予後は不良である.
CTEPHは急性肺血栓塞栓症の0.57〜3.8%にみられるとされるが,約半数は急性肺血栓塞栓症の既往を認めず労作時の息切れのみを症状とする.わが国では女性に多いことが特徴とされ,この理由の一つとして,女性に多く深部静脈血栓症の頻度が低い,HLA-B5201と相関するタイプがみられることが報告されている.成因機序は未だに不明である.
CTEPHの侵襲的治療としてSan Diegoのグループが肺血栓内膜摘除術(PEA)を外科的根治術として確立し,以後その治療効果に関して報告が数多くなされている.しかしPEAは国内外の限られた施設でのみ施行可能で,約半数の症例が手術適応外とされているのが現状である1〜3).
適切な診断および治療に関わる画像診断は重要で,本稿においては肺動脈血栓塞栓症の診断に必要な画像診断であるCT(computed tomography),血管造影の基礎,および近年盛んに行われるようになってきた肺動脈バルーン形成術(balloon pulmonary angiography;BPA)に必要な画像診断について最近のトピックをあわせて述べる.
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