Japanese
English
Bedside Teaching
SGLT2阻害薬と心血管疾患
Sodium-glucose Cotransporter 2 Inhibitors and Cardiovascular Disease
錦戸 利幸
1
,
野出 孝一
1
Toshiyuki Nishikido
1
,
Koichi Node
1
1佐賀大学医学部循環器内科
1Department of Cardiovascular Medicine, Saga University
pp.577-581
発行日 2015年6月15日
Published Date 2015/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404205726
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はじめに
糖尿病に対する血糖降下薬にはインスリン分泌を促進するSU剤(sulfonylurea)・グリニド系,血糖吸収を阻害するαグルコース阻害薬(α-GI),インスリン抵抗性を改善するビグアナイド系があり,近年dipeptidylpeptidase-4(DPP4)阻害薬,glucagon-like peptide-1(GLP-1)受容体作動薬とインクレチン製剤も加わって血糖降下薬の選択肢が拡大してきている.そのなかで,2014年より尿中へグルコースを排出することによって血糖を降下させるという新しい作用機序を有する新規経口血糖降下薬のナトリウム依存性グルコース共輸送体(sodium-dependent glucose transporter;SGLT)2阻害薬が承認された.SGLT2阻害薬は血糖降下作用が比較的強いが,単独では低血糖を起こす危険性は低く,降圧・体重減少,内臓脂肪減少作用も有している.
動脈硬化症の危険因子には高血圧症,脂質異常症,喫煙のほかに糖尿病も重要な因子であり,粥状硬化症に加えてインスリン抵抗性・高血糖によるAGE(advanced glycation endproduct)・血糖変動などの酸化ストレスを介した血管内皮障害にも関与している.糖尿病患者の多くはメタボリックシンドロームを合併しており,これらの血管内皮障害,低血糖時のカテコラミン分泌などのストレス反応,血小板機能異常などによって心血管イベントを高頻度に発症する.これまでに評価されているSGLT2阻害薬の心血管疾患に対する効果や安全性について概説する.
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