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あとがき
小室 一成
pp.504
発行日 2015年5月15日
Published Date 2015/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404205711
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高齢者人口の増加に伴い徐脈性不整脈患者数が増加しており,ペースメーカの使用頻度は増えている.また心不全患者の急増とエビデンスの確立により,ICD, CRTの使用頻度も増えている.ペースメーカ自体やリードは年々進歩しており,性能が良くなると同時に小型化し,使いやすくなっているのは確かだが,問題が少なくなったわけではない.特に頻繁に遭遇するのが,ペースメーカ感染である.これは幾分人為的な要素もあるが,ペースメーカ植込み後長年たってからペースメーカ植込み周囲の皮膚が菲薄化し,ペースメーカ本体がむき出しになるようなこともあれば,そのような皮膚の問題はないにもかかわらずペースメーカ周囲に感染が生じ,出血,痛みで発見されることもある.ペースメーカ感染が明らかになれば,当然ペースメーカの抜去が必要であるが,長年の間に癒着したリードの全抜去は容易ではない.幸い最近ではレーザーによる抜去が可能となったとはいえ,できる施設は限定されている.一方ICDやCRTであるが,心不全治療におけるエビデンスの蓄積からその使用は急増している.ICDの性能も向上し,誤作動も減ったが,ペースメーカ同様感染の問題は残っており,誤作動もなくなったわけではない.心不全患者に対する治療として,CRTも定着したが,その有効例はそれほど多くなく,未だ心電図におけるQRS幅と左脚ブロックが最も有用な指標である.有効性を予想できるより良い指標とより有効な方法の確立が待たれる.本特集では,ペースメーカ治療の進歩と課題が良くまとめられている.
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