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あとがき
平山 篤志
pp.102
発行日 2015年1月15日
Published Date 2015/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404205627
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日本人の名前の付いた循環器疾患として,高安病と川崎病がある.高安病は,眼科医の高安右人先生が発見した大動脈に原因不明の炎症を来す疾患で,「脈なし病」とも言われ,わが国より欧米では,発見者である高安病と呼ばれることが多い.川崎病は1961年に日本赤十字社の小児科医・川崎富作先生が患者を発見し,1967年に報告し名づけられた疾患で,小児急性熱性皮膚粘膜リンパ節症候群(英:MucoCutaneous Lymph-node Syndrome;MCLS)とも言われるが,主に乳幼児期に罹患し,中型の血管が全身性に炎症を起こすことで,発熱,発疹,冠動脈病変など様々な症状を惹き起こす.世界的に川崎病(KD)と呼ばれる.このように,発見者の名前が記載されることは,われわれ日本の循環器医にとっては誇りである.ただ,発見以来川崎病の原因は明らかにされていない.罹患者数が減少しているわけでなく,早期に治療されることで成人期の合併症は減少しているが原因が明らかにされていないため,予防法はなく対症療法にとどまっている.日本人が発見した病気は,われわれ日本人で原因を究明したいものである.川崎先生は今なお,現役でNPO法人川崎病研究センターで理事長として活躍中である.お話をお聞きすると,患者を良く診て考えることが本当に臨床医として大切であることが実感される.川崎先生と高安先生,このお二人の名前を誇りに思い,今後も日々の臨床に真摯に取り組み,精進したい.
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