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あとがき
平山 篤志
pp.724
発行日 2014年7月15日
Published Date 2014/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404102531
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高血圧における初めてのガイドラインは1977年の「高血圧の発見,診断および治療に関する米国合同委員会の第一次報告(JNC Ⅰ)」であった.それ以後,JNCは8回の改定がなされている.米国だけでなく,ヨーロッパやわが国でも独自に高血圧に関するガイドラインが作成され改定されてきた.このように改定されるのは,ガイドラインが作成された以降に新しいエビデンスが次々と明らかにされるためである.逆に,われわれの常識が覆るときでもある.最近は臨床研究にまつわる新聞報道が盛んに行われることもあって,ガイドラインが改定されたこともニュースとして報道される.患者側でも内容を十分に理解しないで,目標となる血圧値が変わったのでもう薬を飲まなくてよいのではとか,β遮断薬を服用していた人がこの薬は効果がないのは,といったことを外来で言われる.どうしても日本人の国民性としてお上のご威光があるかのようにガイドライン至上主義になってしまうので,個々の特性を無視してガイドライン通りにという本末転倒のような欲求も出てくる.ガイドラインは一つの基準だが,いくらでも変わりうる基準であることや患者によってはエビデンスのない場合もあるということを説明しながら日々の診療を行わなければならない.そのために今回のJSH2014を考えるという特集はガイドラインの背景がわかりやすく解説されているので,多くの先生方の診療の一助になると確信している.
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