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あとがき
平山 篤志
pp.782
発行日 2012年7月15日
Published Date 2012/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404102018
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慢性腎臓病(CKD)が心血管イベントの発症と大きく関与することが明らかにされ,心腎連関の重要性が臨床的に認められるようになった.CKDの存在は,急性冠症候群のリスクだけではなく,心不全や心房細動の発症にも関連している.それは,CKDが心疾患の発症の原因である生活習慣に潜む高血圧,脂質異常症,肥満,糖尿病といった共通の疾患によって引き起こされるからでもある.そこで,今回の特集では心腎連関を生活習慣病としてとして捉えることから企画した.本特集でも述べられているが心腎連関の正確な機序は明らかではない.炎症,ホルモン,造血系因子,神経系などが複雑に関連していると思われる.さらに心腎連関はまた,負の連鎖でもあることも記載され,腎機能が予後を規定する最大の因子であると述べられている.腎機能の悪化はいかんともしがたいために,心腎連関の負の連鎖に入らないように生活習慣の改善によるCKDの予防が最大の治療手段である.中国の黄帝経に「上医はいまだ病まざるものの病を治し,中医は病まんとするものの病を治し,下医はすでに病みたる病を治す」と記載されているが,まさしく循環器医は上医を目指さなくてはならない.高齢化や食生活の欧米化など,これからのわが国を取り巻く環境はますます厳しくなる.学力低下が明らかになった昨今,ゆとりの教育の是非が問われているように,多くのファーストフードが蔓延しつつある今こそ,食育の重要性をわれわれが訴えてゆく必要があるのではないだろうか.
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