Japanese
English
Bedside Teaching
持続陽圧呼吸
Continuous positive airway pressure
高崎 雄司
1
Yuji Takasaki
1
1東海大学医学部第2内科
1The Second Department of Internal Medicine, School of Medicine, Tokai University
pp.1067-1073
発行日 1989年10月15日
Published Date 1989/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404205557
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
ここで概説する持続陽圧呼吸(continuous positiveairway pressure:CPAP)法を,臨床例に初めて応用したのは1938年,Barachらである1)。彼らは左心不全から急性肺水腫となった呼吸不全患者に対し本法の有効性を観察したが,その後しばらく,臨床例への持続陽圧呼吸の使用がかえりみられなかった。しかし1970年代に入り,新生児呼吸窮迫症候群2)や,成人型呼吸窮迫症候群3)に対する持続陽圧呼吸の有効性が報告されてから,本法による治療が臨床の場で広く用いられるようになった。1980年代にはいると,オーストラリアのSullivanら4)は,経鼻法による持続陽圧呼吸を閉塞型睡眠無呼吸症候群に初めて応用した結果,閉塞型無呼吸患者で無呼吸の消失を観察し,以降本法は,閉塞型無呼吸患者の最も有効な治療法として確立するに至ったが,睡眠無呼吸が呼吸器疾患領域での一大トピックスとなったこと,さらには睡眠無呼吸症候群の罹患率が非常に高いことなどが相まって,数多くの医療機器メーカーは持続陽圧呼吸装置を積極的に開発し,現在では比較的安価で本装置の購入が可能となった。したがって,最近では,慢性閉塞性肺疾患5),脊柱彎曲症にともなう呼吸不全6)にも持続陽圧呼吸の導入が試みられ,好成績が得られたとの報告が示されている。
今回,持続陽圧呼吸の原理と方法,本法導入にともなう効果発現の機序,臨床応用などに関し,最近の知見を中心に述べてゆくことにする。
Copyright © 1989, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.